あんがすざろっく

ごめんのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

ごめん(2002年製作の映画)
4.2
劇場で観ていて、大好きな作品です。

大阪と京都を舞台に、思春期の男の子の、体と気持ちのモヤモヤを描いた青春映画。
公開時、和製「小さな恋のメロディ」なんてふれ込みもあって、確かに淡い恋心が物語の中心にはなりますが、見る人によっては、多少「こっ恥ずかしい🫣」ってなるかも(笑)
でも男の子が大人になる為には、避けて通れない通過儀礼なんです。




「おしっことちゃうやん⁉️」

小学6年生のセイは、ある日学校でおしっこを漏らしてしまったと、トイレに駆け込む。
が、実際はそうではなく、周りの男子の中で誰よりも早い精通だった。

体の変化を誰にも相談できずにいた頃、セイは祖父に頼まれた買い物先で、一人の少女に心を奪われる。
彼女の周りだけ、まるで陽の光が差し込むように輝いて見えた。

「恋だな」
「…これが、恋なん?」

少女の名前を知りたい一心のセイは、何とか情報を得るのだが、その少女、ナオちゃんは、自分より年上の中学生だった…。


アメリカのコメディとかだと、こういうのは爆笑の渦を巻き起こしますが、日本で描くと、ちょっと羞恥心が覗く。
これがまた何とも、心をくすぐるんですね。



小学生からすると、中学生ってやっぱり年上のお兄さん、お姉さんって感覚があると思います。
逆に中学生から見れば、小学生は弟、妹みたいな感じ。

セイはセイなりに、本気でナオちゃんを好きになって、勇気を出して告白したのに、ナオちゃんから見ると、セイはまだまだ子供。

セイは本気の失恋。
いくら小学生でも、男心は傷つきます。
それからしばらくしてからの、ナオちゃんとのぎこちない会話。
この辺りの描写が巧いんです。
セイだって男なんだから。


セイ役の久野雅弘さん、ナオちゃん役の櫻谷由貴花さん共に瑞々しい演技が光ります。
自転車疾走の長回しが素晴らしいです。

セイのお母さん役に河合美智子さん。あっけらかんとした感じがセイからすると困りものですが、お父さんとの組み合わせが見ていてしっくりきます。
そのお父さん役が、ここでも名演を見せてくれる國村隼さん。
河原でのセイとの絡みが、じわりと効いてきます。
放任しているようで、ちゃんとセイのことをみています。

それから、セイの祖父役に数学者で評論家の森毅さんが出演していますが、これが絶妙。
コミカルなキャラクターがピタリとハマっています。

セイの親友のキンタとニャンコのポジションも良くて、仲違いすることもあるけれど、3人組ってやっぱりいいですね。



男性が見ると、あ〜こんなことあったなぁ🤭って、苦い記憶を思い出すかも。
うわっ、どうしよう、これバレないように洗濯しなきゃ( ̄◇ ̄;)って、焦りましたよ。

これはね、年頃の息子さんをお持ちのお母さんにも、是非見て欲しい。
こういうことって、なかなか両親には知られたくない。
お父さんにも、ちょっと相談しにくいんですよね。

お母さんは、なんて声をかけてあげればいいか迷うかもしれませんが、
もし万が一、見つけたとしても、「別に恥ずかしいことじゃないんだよ」って言ってあげて欲しい。
この作品のお母さんみたいに、デリカシー無さ過ぎるのも困るけど😓


見終わった後に甘酸っぱさが残る、可愛らしい作品です。
小学校や中学校の保健体育の時間に見てもいいかも。
スケールが大きかったり、一級娯楽エンタメもいいけれど、僕はこういう佳作や小品の方が好きですね。

「口が当たっただけや🥲」
あんがすざろっく

あんがすざろっく