あんがすざろっく

1秒先の彼のあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

1秒先の彼(2023年製作の映画)
4.0
まず開口一番言わせて頂きたい。
清原果耶さんが可愛すぎる😍‼️


何をするにもワンテンポ早いハジメと、何をするにもワンテンポ遅いレイカの、すれ違いの物語。

台湾の作品のリメイクのようで、オリジナルは男女の立場が逆になっているそうです。


舞台は京都。
ハジメはルックスは100点なのに、中身が0点という残念な男。
本人はそんなつもりはないのだろうけど、言うことに毒があるし、屁理屈がすぐに口を出る。
高校時代に家族を残して父親が蒸発したという過去があり、そのまま学校を中退して、郵便局に就職している。
そのハジメが一目惚れした、路上ミュージシャンの桜子。
2人の距離はどんどん近づいていく。
日曜日、宇治の花火大会に一緒に行く約束をしたその日、ハジメは寝坊をしてしまう。
だが、様子がおかしい。
周りの人は皆、月曜日を生きているのだ。
ハジメの日曜日は、どこにいったのか…



途中、奇想天外な展開に雪崩れ込むまで、作品はハジメの日常を描いていきます。
こんな人、絶対いそう😆
せっかちというか、先回りし過ぎて空回りしているというか。
でも本人は至って普通。
このキャラクターを、岡田将生さんが嫌味なく好演しているんです。
ワイルドスピードの描写、笑える🤣

前半、物語はこのハジメと、桜子の恋の行方が軸になっていきます。

桜子を演じたのが、福室莉音さん。
テレビで活躍されている女優さんです。
笑顔が可愛い。


そして後半、ハジメと桜子の姿を、観客は後ろから追うことになります。

鍵となるのは、ちょっと地味な女の子、レイカの存在。
大学7年生で、貧乏な生活を乗り切る為にバイトを掛け持ちし、趣味のカメラを常に首から下げています。
おっとりしているから、蚊も捕まえられない。
色々考えちゃって、行動がワンテンポ遅くなっちゃうんですね。
このレイカを演じたのが、清原果耶さん。
冒頭で書きましたが、今回の清原さん、多分今まで見てきた作品の中で一番可愛い‼️
「まともじゃないのは君も一緒」も可愛かったですけどね。

清原さんって、クールな印象がありますよね。
その存在感が、役に説得力を与えていて、キャラクターの空気を見事に纏うんですけど。

今回も、ローテンションな役ではあるんですけど、どこか抜けていて、見ていて楽しい。

蚊を捕まえて「見て見て〜」って喜ぶシーンとか、バスのアナウンスのシーンとか最高です。
人力車を引くシーンも応援したくなってしまう。
ゴム見つけちゃうシーンは「わ〜ごめんなさい🙇」って何故か思わず謝りたくなってしまいました😖
のんびりした京都訛りも、また可愛い…


果たして、ハジメとレイカにはどんな繋がりがあるのか。
ハジメの日曜日はどうなったのか。




ここからは、ネタバレにふれます。





















そう、その日曜日がどうなったのか、これが本作の肝。
中盤から、作品はいきなりSFファンタジーの世界に飛び込みます。
かなりローテク、アナログなやつ😆
でも味があって好きです。

バスの運転手さん、荒川良々さんでバッチリ👌

そして、蒸発したはずのハジメの父親も登場。演じるのは加藤雅也さん。
全然気付かなかった😳
あんな髭面じゃあね😅

そのハジメ父が語る、「神様が返してくれた一日」。
理屈で説明できない話なんだけど、妙に納得してしまう。
なるほど、それでハジメの日曜日はなくなるのか。
名前を書く時間なんて、改めて考えたことなかったな。
そう言えば、娘はうちの家族で一番画数が多くて、書くのが大変だ、とぼやいていたことがあったな…

伏線を確認したくて作品を2回見返したんですけど、実は背景の笑い声とか、カメラのシャッター音とか、細かいところでも遊びが効いています😆

写真を撮られる時はどうしても目を瞑ってしまうことが歯痒かったハジメ。
写真を撮ろうとするとどうしても被写体に動かれてしまうレイカ。

お互い、撮られた(写せた)ことが、嬉しかったんだろうなぁ。




キャストは他にも、ハジメのお母さん役の羽野晶紀さん良かったし、ハジメの義弟役はなんとしみけんさん。
意外とハマってたんじゃないですか。

そして、ラジオのパーソナリティと写真館の店主役に、笑福亭笑瓶さん。
短い出番だけど、これが遺作になってしまいました。
訃報を聞いた時、あまりにも突然過ぎてびっくりしました…
作品の良いアクセントになっています🥲





監督は山下敦弘監督。
僕は「リンダリンダリンダ」しか見たことないんですけど、人気のある監督ですよね。

そして脚本は宮藤官九郎さん。
どうりで😆
クドカンさんの脚本はやっぱり面白いですね。



ちょっと脱線。

アーティストのaikoさんの「ストロー」っていう曲があるんですけど。

その中に、こんな歌詞があるんです。

    お皿に残る白い夢を
    君の口に入れてごちそうさま
    大きな小さい半分に
    慣れた頃思うこと

カップルの日常を歌ってるんですけど、食べ物とかを半分にして食べると、彼女にとっては大きいけど、彼氏にとっては小さい。
巧い表現だな、と思うんですよ。
お互いの見方次第で、「半分」という大きさも違ってきます。


スピードだって、「普通」をどこに取るかで
変わってきますよね。
ワンテンポ早いハジメからすると、みんなが遅く感じるだろうし、逆にレイカからすると、みんなが早く感じる。

見える景色はそれぞれ違って、面白いと思うけどな。
全編で描かれる京都の景色も、観光しているみたいで楽しいですよ。


1年早く着いたハジメ。
1年遅く着いたレイカ。
タイミングは、どこかで合うんだよね。
あんがすざろっく

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