結湖

アマデウス ディレクターズ・カットの結湖のレビュー・感想・評価

4.0
面白かった!
サリエリ(F・マーリー・エイブラハム)が「モーツァルト(トム・ハルス)を殺したのは私だ!」と自殺を図ろうとし、モーツァルトの音楽の才能への嫉妬やその経緯を神父に独白し、彼の人生を回想するという映画です。
とっても面白かったのですが、ディレクターズカット版は3時間とかなりの長編。しかし、最後まで全く飽きずに見れました。
なにがいいって、やはり音楽の素晴らしさ!これはさすがモーツァルトというより他ありません。モーツァルトだと知っている曲も、聴いたことあるけどモーツァルトだったのか!と知った曲もたくさんあります。
そして、なによりこの映画の素晴らしいところは、内容がただの伝記ではなく、モーツァルトの死を巡る、サリエリの嫉妬と憎悪が絡んだ上質のサスペンスだということです。
自身に規律を科し神と音楽に対して敬虔なサリエリ。
天真爛漫で謙虚さもないうえに下品な態度、しかし、音楽の神様に愛された圧倒的な天賦の才を持つモーツァルト。
その才能の前に己が凡庸でしかないと悟ったサリエリ、その嫉妬とそれ以上に彼の生み出す音楽への深い愛情が浮き彫りになり、サリエリの孤独と悲哀と狂気を見事に表しています。
これに対し、モーツァルトの才能はあるけど人生を上手く歩めない幼稚さが、最後まで憎めない。
あー、もう!サリエリのバカ!!あんた、本当にモーツァルト大好きすぎ!!可愛さあまって憎さ百倍とはまさにこのこと!!!
しかし、モーツァルトの音楽に乗せられると、サリエリの暗い感情がなんだかそこまで重く感じない不思議。
ともすれば陰鬱なラストカットだが乗っかるモーツァルトの笑い声は、現代にもその名が残るモーツァルトの名声を表すかのよう。
面白かったです。
2014/04/18:DVD
結湖

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