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真珠の耳飾りの少女のtaruponのレビュー・感想・評価

真珠の耳飾りの少女(2003年製作の映画)
3.9
スカーレット・ヨハンソンの透明感、17Cのデルフトの街、フェルメールの絵をなぞらえたようなフェルメールの家の屋内やアトリエ、この色彩、光、世界観に浸れるだけで満足できる作品。

スカーレット・ヨハンソンの透明感は、本家の「真珠の首飾りの少女」を軽く凌駕している。特に、髪の毛をおろしていないからいいのね。言葉少ない不器用な無表情も、逆に心の揺れを映している。ある意味、全編スカーレット・ヨハンソンの瞳をのぞき込んでいる気持ちにさせる映画です。

そして、運河の街デルフトのブルーグレーなトーン、デルフト陶器の青、それとは対照的な黄色みかかった陽光を映すフェルメールのアトリエ。グリートとフェルメールで作り出す顔料の鮮やかさ、グリートとピーターのデートの場面でのグリーンかかった郊外の色あい。

ストーリー的には、大きな事件等が起こるわけではないが、芸術家がインスピレーションを得ていく過程や、無垢な少女が新しい世界を見せられてそこに思慕を感じていく様子、画家の妻の焦燥、長女の残酷なまなざし等、言葉よりも目がたくさん物語り、緊迫感のある映像を形作っている。
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