TenKasS

トラスト・ミーのTenKasSのレビュー・感想・評価

トラスト・ミー(1990年製作の映画)
-
そもそも2019年ニートロケットスタートをキメた、所謂無敵の人である自分としては、この映画のマシューとかいう奴には親近感を覚えざるを得ないわけだが…。
コイツ、言ってしまえば秋葉原で殺傷事件を起こした加藤智大のように、クソな社会に順応することと、自分であることのズレが増大して、爆発的な暴力衝動を蓄えている人間なわけであって、ハル・ハートリーの作風だからこそのマイルドさを持ってスクリーンに立ち現れるわけだけど、この映画はよもやキレる若者を描いたと言っても過言ではないのではないか。
世の中をネガティブな目線で見る人は、冷静に物事を分析しているわけではない。むしろ逆だ。病的にある種の殺意をもってウザったい世間を遠ざけようとして、見方が凝り固まっている。いつだって誰かを殴りたい。ぶちのめしたい。
ハル・ハートリー映画はそんな可哀想な奴らのことを肯定も否定もしないが、近くにいたら傷を舐め合うくらいの優しさは持ち合わせている。

余談だが、『ディア・ハンター』のときはストリーミングサーバーの不調なのか映像が一瞬止まったアップリンク吉祥寺だが、今度は予約発券機にQRをかざしたらチケットが出なかった。付箋に手書きで書いてもらって対応してもらったが、新春早々の映画館始めだというのに、人を不快にさせるようなシステムを作ったやつが、多分今頃酒でも飲んでるんだろうと思うとパルコの地下二階に手榴弾でもあればぶん投げてるだろうなという気持ちになった。
殺意に満ちた2019年の幕開けである。
TenKasS

TenKasS