藻類デスモデスムス属

トラスト・ミーの藻類デスモデスムス属のレビュー・感想・評価

トラスト・ミー(1990年製作の映画)
5.0
鋭くささる入力波形。


リモコンのボタンを押すとテレビがつく。無線の入力信号から、微弱な電流を感受したリレー回路が作動して、出力を切り替える。OFFだったものがONになる、ONだったものがOFFになる、それはかなり劇的な変化。一発の平手打ちが、死者を生み、亡霊を照らす。思いもよらずバトンをパスされて、走り出さないといけないこともある。でもどこに走っていけばいいかがわからない。求められている出力はなんだ。どんなものなら満足できる。2時間探し回ってみつからない時もある。時間を無駄にしたけれど、ないということは分かった。それもまたひとつの出力。

飛び越えたいと思っている。期待通りの答えが欲しい。思ってもみなかった答えが欲しい。見えない跳ね橋がきっとある。信じてない。飛び込めない。大切なものは抱きとめている。受け取るだけじゃなく、それを力に変えないと、スイッチは動かないまま。不器用なキャッチボールは、くるくる回るサーキット。流暢な語り口で描き出す、出口を探し回る二人は、鋭い入力波形となってつきささる。

いつかその刺を引き抜きたいと思う。
スイッチが作動する。
電線にカラスが止まっている。
投げ上げて、
ブラッドオレンジの夕焼け。