一夢

コントロールの一夢のレビュー・感想・評価

コントロール(2007年製作の映画)
4.1
歴史・伝記を媒体とした小説や漫画、そして映画にはある致命的な欠点がある。例えば作中で、信長がどんなに苦戦したりピンチに陥っても、(どうせコイツ、本能寺燃えるまで生きてるんやろ)と考えてしまうように、最大の緊張感緩和剤である、歴史に対する知識を我々がGoogle先生から無尽蔵に吸収できることである。

気分が落ち込んだ時は明るい曲ではなく、ひたすら暗い曲を聴いて極限まで落ちるタイプの自分が好きなバンドJoy Divisionの伝記映画たる本作は、その悲惨な結末を知ってはいるが、それでも余りあるあと味の悪さを叩きつけられた。一人の純粋で、繊細な心を持った、孤独を理解したミュージシャンの追い詰められていく様は見ていて胸が痛んだ。

ライヴ、レコーディングシーンで、名曲の数々が俳優達により演奏されるが、そもそもテクニック的には大したことないバンドでもあるので、そこも合わせて再現度はかなりのものだと思う。ヴォーカルの声もステージアクションもイアンに似ているし、ピーター・フック役は本人に似過ぎで笑ってしまった。

自分が一番好きな曲、Disorderがイントロのドラムだけで終わった時は観ていて思わず声が出たが、その後でちゃんと演奏してくれて安心。歌詞の緊迫感と合わせて、イアンが本当にボロボロになったシーンだったけれど、それがまた良かった。
一夢

一夢