エディ

ギター弾きの恋のエディのレビュー・感想・評価

ギター弾きの恋(1999年製作の映画)
3.9
30年代に実在した天才ジャズギタリストの悲しい半生を描いたウディ・アレンのヒューマンドラマ。史実を再現するようなスタイルで作っているのでいまいち入りにくいのが難だけど、良い意味で、ウディアレン的なシニカルで嫌味じゃなくストレートで判りやすい主人公なので共感出来た。フェリーニの「道」をウディアレンが作り直した感じだ。

シカゴに住むジャズギタリストであるエメットは自他とも認める天才ジャズギタリストだった。そんな彼だが、自身の人生を決めるくらいに衝撃を受けた欧州のジャンゴ・ラインハルトというジャズギタリストには常に引け目を感じ、劣等感からの尊大な態度や自信過剰で自堕落な日々を過ごしていた。
アーティストは芸術に身をささげるべきで一人の女に構ってはいけないと頑なに信じるエメットは女遊びは激しかったが、落ち着いた生活が出来ずにいた。
そんなある日、海辺でナンパした女達の中で外れくじを引いたことでしゃべることができない障害を持つ女ハッティと知り合う。最初は嫌々だったが、いつの間にか自然な関係になったものの、エメットが上流階級の女ブランチと出あったことでハッティを捨ててしまった。。。

ショーンペン演じる主人公エメットは独善的な設定だけどユーモア溢れる魅力ある天才で描かれているのですんなり共感が出来ると思う。彼は確かに天才だが、常にジャンゴ・ラインハルトと比較しているので実はコンプレックスの塊なんだろう。そんな彼だが、周囲も天才と持ち上げ、自分が世界最高でないのを知っているのは自分だけという苦悩を常に背負っている。
そんなときに出会ったハッティは、うざったいくらいにドン臭いけど、フェリーニ監督の超名作「道」でのジェルソミーナのような「心癒される存在」なんだろうとわかる。

空気のような存在はいなくなってその価値に気付きがちで、エメットもそうだったが時既に遅し。。。

ストーリーはある程度予測可能だけど、ウディ・アレンの映画に出てきがちな「嫌味で口達者な人間」は出てこないで、直情とすれ違いで胸が苦しくなる。

ラストは、自分が彼の立場でもそうすると思う。

ドキュメンタリー風なのでどうしても引き気味に観てしまったのが残念だが、良い映画だった。