Shintaro

マイマイ新子と千年の魔法のShintaroのレビュー・感想・評価

マイマイ新子と千年の魔法(2009年製作の映画)
3.9
総評価3.4はびっくり。
もっと高くても良いのに。

こちら、配給宣伝がほとんどされなかったために、ひっそりと上映されたマイナー作品。
絵から分かるように、ジブリ的ノスタルジーを感じる舞台で田舎の匂いを感じられる一本です。

主人公は性格の割には、イマジナリーフレンズとの遊びに没頭しがちな女の子新子。ある日東京から越してきた同い年の女の子貴伊子と夏のひと時を過ごし、人の情に触れていくストーリー。

青春とは、自分が何者にでもなれて何でも出来る気持ちになる時の事を指す気がします。そうゆう意味では、小学生の時の夏休みなんてまさに青春です。個人差はあると思いますが、僕は比較的外で探検ゴッコ的なことをしたいタイプのガキだったので、この映画は懐かしさもあれば、理想の形でもありました。

貴伊子が都会で経験した現実から田舎で自分の心を取り戻すのとは少し対照的に、新子は田舎での想像と憧れの日々から最後は新天地へ向かっていく構図がいいですね。
子供にとっての”おじいちゃん”という親以上の存在感を表現することにも成功しています。新子にとっておじいちゃんはよりどころとなる”神話”のような存在ですね。
おじいちゃんの死から引越しの流れは自然で美しいです。

タツヨシを巡る終盤のある事件。
新子が放つ”ウチらの明日を返せ!” ではもう…。
その後のタツヨシの心の叫びが漏れてしまうシーンでも、なんて素晴らしい演出だろうと舌を巻きます。

僕らは戦争もその後の日本の様子も知らない悟り世代なんか言われる現代っ子ですが、それでもこの映画に”懐かしいな”と思いを馳せるのは 明日への普遍的な願いと希望が詰まった傑作であるからだと思います。
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