あんがすざろっく

パプリカのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

パプリカ(2006年製作の映画)
4.5
この世界観とオリジナリティとイマジネーションは、僕の中ではAKIRAに匹敵します。

クリストファー・ノーランの「インセプション」にも多大なインスピレーションを与えた本作。
今敏監督の作品は初めて鑑賞しました。

これまでにも何度か見ようと試みてはいたのですが、作品から醸し出される空気が簡単には僕を寄せ付けず、そういう意味でも僕にはAKIRAと同じ匂いを感じさせずにはいられませんでした。

そして、機は熟しました。
今は、自分の中に、新しい感性や価値観を取り込みたい。
好みの作品だけではなくて、刺激的な体験をしてみたい。

「インセプション」にも近いとなれば、見ようというきっかけには充分です。



原作は筒井康隆氏が1993年に発表した小説です。
映画オリジナルだと思ってたんですが、原作があったんですね。


夢を共有できる機械、DCミニ。
倫理上の問題から、幅広い実用化には至っていなかった。
そんな中、開発途上のDCミニが、何者かによって盗まれる。

研究所の所長は、他者から夢の中に侵入されて精神錯乱状態になり、自殺未遂を起こす。

研究所所員にして、サイコセラピストの千葉は、DCミニの開発に携わった時田と共に、事件の真相とDCミニの行方を追う。
そして、DCミニの開発にも関わっていた氷室の存在を突き止める。


これだけのストーリーを書いたところで、この作品の魅力とイマジネーションは全く伝わりません。
もう、実際に見てもらうしかない。
ぶっ飛んでますから。


夢の中の話だから、世界観は無限です。
作品全体に心理学や哲学が敷き詰められている為、考え出したらキリがない。
僕は頭が悪いので、台詞の意味するところが全く分かりません(笑)。
でも、充分映画の世界は楽しめたし、何故本作がこれだけ支持されているのかが分かりました。

映像が、とにかく素晴らしい。
カラフルで、悪夢的。
AKIRAが好きな人なら絶対ハマると思います。
(というより、AKIRAが好きな方はまず本作も見ているのでは)

今監督の作品は初めてだったものだから、
「パーフェクトブルー」と混同していたかも知れません。
こちらはホラーのはずですよね?
ちょっと腰が引けるけど、もしかしたら見れるかも知れないな。

好き嫌いがはっきり分かれる作品ではあると思います。
中学生とか高校生の頃に見ていたら、トラウマになったかも知れない。
ただ、ハマってしまうとクセになる中毒性は大いにあります。
何気にパプリカが可愛い。
己のトラウマと格闘しながらも、犯人を追い詰める粉川刑事も渋くてカッコイイです。

本作は今監督の遺作とのことで、40代と若くして亡くなられているので、監督作品は4本と少ないようです。
その4本どれもが、とてつもないエネルギーを発している印象があります。
残りの3本も、これからチェックしてみたいと思います。
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