田島史也

ハンニバルの田島史也のレビュー・感想・評価

ハンニバル(2001年製作の映画)
3.1
前半は意味不明、後半は爽快。

本作は完全にハンニバル・レクターが主人公、といった感じで、前作よりもレクターの存在感が強かった。

前半は、セリフベースで物語が進み、ワンショットを見逃すだけで理解が出来なくなっていく。事実を映像として見せるのではなく、言葉で説明するのに留まっている点が残念。後半になると、衝撃的なショットと共に、物語が映像の力によって鮮明に示された。レクターとクラリスの追い掛けのシーンに始まり、ヴァージャー達がイノシシに喰われ、正しく策士策に溺れるシーン、そして脳かっぴらきシーンに至るまで圧倒的な描写によって緊迫感とダイナミズムを表出させた。

ラストシーンが好き。まず、やっぱりクラリスの腕を切り落としてはいなかったのだと分かり、代わりにレクターが自らの腕を切り落としていたことが分かる。レクターさんはクラリスに相当ご執心の様子。その後、子供にある食材をせがまれる。知らぬが仏とはこのこと。あのグロいシーンの顛末としてカラッとしたコメディ要素を入れることで、中和に成功?している気がする。こんな風に、割と短期的な伏線の回収を行うことによって、クライマックスの満足感を高め、鮮やかな幕引きとなっている。良くも悪くも、らしくない終わり方だなぁとは感じた。


映像0.7,音声0.7,ストーリー0.6,俳優0.8,その他0.3
田島史也

田島史也