キラキラしていないタイプの王道青春映画
フリーターの男女3人が、大学生のような青春を取り戻す物語。
「いつまで若くいられるのか」
という会話が効いている。
「恋愛ではみんな嘘をつく」
という会話が示したように、相手に自分がよく映るように着飾ってしまう恋愛の本質に対して佐知子は葛藤する。
飲みをドタキャンした柄本に対し、私に好かれようとせず、素直な気持ちで接してくれると感じた佐知子は、上記テーゼへの答えを求める。しかし柄本の対外的な態度の悪さを見た時、素直だがクズなのだという事実に気づく。そして極めつけは、恋愛観の決定的な相違。柄本は素直だが、自分の欲求に忠実ということ。故に恋愛は「遊び」でしか無かった。柄本は佐知子の幸せのために自己を犠牲にできるタイプではなかった。
どっちつかずではっきりとせず、自分の欲求のために、自分を守るために、しかしそれを素直に表現する柄本。
数を数える演出が最後再び登場したのが良い。恋愛を「遊び」とし、ある種の責任から逃げていた柄本は、ようやく想いを伝えるが、その頃には佐知子は既に答えを出していた。
素直すぎるやつではなく、自分のために嘘をついてくれる人が選ばれる。
本篇通じてひとつの命題が検証される、一貫性のある構成だった。
カメラワークの工夫(撮影隊がガラスに反射しないようにしている、ズームイン)や、徹底した夜(暗め)の撮影、BGMの自然な挿入、表情の演技など。本作は技術的にも非常に優れていた。
映像0.9, 音声0.9, ストーリー0.8, 俳優0.8,その他0.5