田島史也

日日是好日の田島史也のレビュー・感想・評価

日日是好日(2018年製作の映画)
3.1
樹木希林を鑑賞しつつ、茶道を知る映画

編集がだいぶテレビドラマ的だなぁという印象。フェードアウト多用してたし、音楽もかなりポップで主張が強め。ドラマならバラエティの延長という側面もあるからエンタメ要素として許容されるのだけど、映画でそれをやると安っぽくなってしまう気がするので僕はあまり好きじゃない。

正直、作品としてかなり荒さが目立ってしまっているなと思った。「日日是好日」に頼りすぎているストーリーライン。ひとつの言葉に頼り、それをタイトルに据えてしまったことで、物語が薄くなってしまった気がする。「日日是好日」という一言でこの物語が説明できてしまう、というのは問題。事実、終盤に雨音から「日日是好日」とは何かに気づくというシーンがあったから、本作はずっとそれだけに頼って描かれてきたのだなと分かってしまった。同様に、父親が死ぬのがわかり易すぎたのも残念。「人はいつ死ぬか分からない」という話から、父親から電話がかかってくるシーンがあり、その後心配になって父親に電話する。こんなにも見え透いたフラグはなかなかない。

一貫して、樹木希林という俳優が輝いていたなという印象はあった。観客の視線を釘付けにさせる力がある。本当に茶道の先生なのではないかと錯覚するほどの貫禄と、美しい所作に魅せられた。

あとは、茶道という未知の世界を教えてくれたという点で、面白さはあった。ストーリー的な面白さは正直あまりないような気がしてしまった。「日日是好日」という考え方自体、特別画期的という訳では無いし、特にはっとさせられるようなものではなかったからだと思う。

俳優山下美月の映画デビュー作らしいので、そこは注目してしまった。この時はまだ超端役だったのが面白い。茶道部の経験が買われ映画デビューを果たし、数年で主役級の俳優にまで登り詰めたのだから凄い。


映像0.6,音声0.6,ストーリー0.7,俳優0.9,その他0.3
田島史也

田島史也