田島史也

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)の田島史也のネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

剣士大活躍の映画名探偵コナンと、まじっく快斗の大告白。

なんというか、すごくこなれ感を感じる。
コナン特有の推理パートも、「君は何者なんだ?」「江戸川コナン。探偵さ。」も、キッドとの協力関係も、ピンチの演出も。新しさは感じないし、何処かが突出することもなかった。全ての要素において、70点の及第点をたたき出した感じ。特に、終盤に至るにつれて緊迫感が増す演出(ラストミニッツレスキュー)は過去作に比べて弱かったかなぁ。総じて、平凡で、特別印象に残る内容ではなかった。

この手の作品は、物語が決定的に進行した時の興奮の度合いは凄い。これまでの歴史がストーリー展開を重厚にしてくれるから。それこそ、沖矢昴が赤井秀一であると明かされたシーンは鳥肌ものだった。その点、本作はラストシーンの告白は凄かったが、それまでがあまりにも平凡だった。「もしかして、」という徐々に観客に悟らせる演出があればもっと盛り上がったのになと思う。後述するが、あまりにも唐突に、あっさりと明かされてしまったのが残念。

あと、服部平次と遠山和葉の関係に進展があれば良かったが、というかそれが本作の軸のひとつだった筈だが、まぁ、結果があれだと拍子抜けだなぁ。この点も、前作のコナンと灰原の展開のさせ方は秀逸だったなぁと思う。

コナンの映画に中森警部と中森青子が登場したのはアツかった。まじっく快斗の登場人物である青子が、コナンの世界にも現れ、そして黒羽快斗との関係性を示唆する描写もあったから、まじっく快斗を知っている人間にとっては凄くアツい。これぞ青山剛昌ワールド。青山剛昌の作りだした世界の深遠なる可能性に震えた。

しかし正直、本作は、エンドクレジット後の最後のシーンが全て。ラストシーンに全てを持っていかれた。

以下、大ネタバレ⚠️







初代怪盗キッドである黒羽盗一は生きており、工藤優作の双子の兄弟だった。つまり、工藤新一と黒羽快斗は従兄弟。だから顔が瓜二つなのだ、と。それだけでなく、黒羽盗一は黒い衣裳を身にまとっており、まじっく快斗で登場した怪盗コルボーこそが、黒羽盗一であると。この辺りは、怪盗キッドに関する事情を知っている人にとって衝撃的な内容だった。「ついに明かされるキッドの真実」って、そういうことだったんですねぇ。

そして、本作の結末としても衝撃的であり、黒羽盗一がドジな川添警部補に成りすまし、作中ずっと見守っていたことや、昔盗まれたとされる星稜刀は、黒羽盗一によって盗まれ、工藤優作の家に飾られていたことなど、バックグラウンドを知らない人も衝撃を受けるラストシーンだった。いやぁ、ハリポタの炎のゴブレットで、マッドアイムーディがずっと別人だったことが明かされた時くらいの衝撃ですよ。

ものすごくあっさりと、超衝撃的な告白がなされたラストの1分。正直脈絡が無さすぎて(いきなり工藤優作が告白し始めた)、呆気に取られてしまった。もう少しそれを示唆する描写を散りばめておいても良かったのにと思う。しかし、すごい内容だったことに変わりは無い。

この映画が凄いというより、名探偵コナンって凄いなぁと思う。ただ、これを本作単体の評価に結びつけるのはあまりにも短絡的だから、ラストシーンより以前の内容を重視して評価しようと思います。


映像0.8,音声0.8,ストーリー0.7,俳優0.9,その他0.5
田島史也

田島史也