噂のホトホトさまをオーディトリウム渋谷のレイトショーで観ました。ホラーかと思っていたのですが、実は子供時代に受けた拭い切れぬ被虐の記憶に怯えて生きる姉弟の愛情を描いた人間ドラマでした。

　長宗我部陽子さんがまさに蠱惑的な演技で、この映画は成るべくして成ったカルト映画と思えます。「＋プロジェクト電撃」として、美学校制作の短編映画が併映されるのですが、そのとぼけた可笑しさには大いに笑いました。

　上映後にトークショーがありました。長宗我部さん、女優の中原翔子さん、高橋洋監督。この三人は映画美学校制作『狂気の海』トリオです。高橋監督が、もっと女優さんと現場で話したい、と言うと、長宗我部さんが間髪いれずに「それは高望み！」と叫びました。

　パンフレットは500円で、かなり文章が多いです。長宗我部陽子さんにサインしていただきました。

学生の時に大阪シネ・ヌーヴォで見た。訳分からなくて面白かった。

非常に職人的な姿勢で撮影されてはいるが、夢と現実の境をなくしながら語られた物語がなんともこの映画のつかみどころをなくしていて、しかしそれこそ瓶詰めされた蚕のような時間の蓄積の物語があって、奇妙な印象を受けたのを覚えている。