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裸のキッスのメルのレビュー・感想・評価

裸のキッス(1964年製作の映画)
3.7
1964年のサミュエル・フラー監督のモノクロ作品。

原題の''The Naked Kiss'' とは作品中で説明しているけど娼婦たちの隠語で、キスで分かる相手の変質性を意味するらしい。
Nakedと言っても裸のシーンやグロテスクな場面は一切無い。

いくつかの急な場面展開がある一方で国際色豊かな障害児施設の子供たちとの触れ合いの描写は異様に丁寧。

戦死の知らせから20年も婚約者を待ち続ける家主の中年女性の存在、彼女が話すベッドに宿る4人の天使の話はこの作品の中のささやかなエッセンスのようでホッとする。

「活動的な無知より怖いものはない」というセリフは犯罪事件記者だったサミュエル・フラー自身の言葉だと思う。

「俺のイチバンだ、東京で覚えた」「ナンバーワンってことね」のやり取りには笑った。

オープニングからエンディングまで主人公ケリーの一本筋の通った生き方にスカッとさせられる作品だった。
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