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さくらももこワールド ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌のmaverickのレビュー・感想・評価

4.3
1992年12月19日に公開された、アニメ『ちびまる子ちゃん』の劇場版。上映時間は92分。


さくらももこワールド全開の作品。家族とクラスメイトの他愛ないやり取りによる日常パートにくすりとさせ、劇場版らしい哀愁さにも溢れている。絵描きのお姉さんとの出会いが、まる子に大きな影響を与える話で感動的。何気ない日々の中にもこうした出来事があり、それを経て人は変化してゆくのだなと感じ入る。多彩な音楽パートも独特の美的センスで表現されており、そのぶっ飛んだ世界観も唯一無二のもので圧倒される。評価が高い作品なのは知っていたが、ここまで高クオリティだとは思わなかった。傑作の部類に入る作品である。

『めんこい仔馬』という歌をきっかけに、まる子と絵描きのお姉さんとの交流が始まる。その歌の意味を知り、まる子は大きくショックを受ける。戦争の悲劇を描いた話でもあり、その部分は驚きだった。戦争を知らない子供も、ここからそれに触れることが出来る。戦争の悲劇を語り継いでゆくことの大事さを感じさせる話だ。お姉さんとまる子との関係性がこの歌にもリンクしており、そこがとても感動的である。お姉さんの声を担当するのは高橋由美子。透明感があり、キャラクターにも合っているので好感持てた。劇場版らしい特別感が出ていて良かったと思う。でもエンディング曲とのギャップには少々困惑(笑)。お姉さんのイメージが崩壊である(キートン山田風に)。

劇場版らしくちょっとセンチメンタル。まる子には実姉のさきこがいるが、そこの関係性の描き方も良かった。いつもは意地悪に見えて、ちゃんと優しいお姉ちゃん。家族愛も感じさせるのが本作の良さだ。


TARAKOさんへの哀悼の意を表し鑑賞。鳥山明先生に続いてTARAKOさんまで・・。大好きなアニメだったし、子供の頃から慣れ親しんだ声。だからとても悲しい。「人は人生の中で別れを何度も経験する」という言葉が劇中にある。まさにそうだと思わせられる。悲しいけど、それもまた人生。悲しいけど、本作のまる子のように笑顔でお別れしよう。「別れてもずっと忘れない」
TARAKOさん、ありがとう。長い間お疲れ様でした。
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