柏エシディシ

白い花びらの柏エシディシのレビュー・感想・評価

白い花びら(1998年製作の映画)
3.0
特集上映「愛すべきアキカウリスマキ」にて。
初見。これはカリウスマキ作品の中でも"異質"な一本なのでは。
もちろんモノクロ、台詞無しのサイレント(字幕あり音楽あり)という形態からして特殊なのだが、呵責のない現実を描きながらも、いつもどこかに渇いたユーモアや慈愛の目線があるカリウスマキには珍しく、酷薄な物語。悲劇的寓話。
ドライヤーやブレッソンを目指したのだろうか。
まぁ全ての作品、特に初期作品は見れていないのでエラそうには言えませんが。

劇伴がロック調なのがユニークといえばユニークなのだけれど、その"ミスマッチ"が効果的には思えず違和感を、言ってしまえば五月蝿い、とすら思ってしまった。
個人的はカウリスマキ映画において好きな部分が全て真逆で、あまり好きでない作品。
でも、カリウスマキ本人、それも重々分かっていての本作の気もする。
いつも初見で恋に落ちる男女を描いていたカウリスマキが、その反転版を描いてるのも象徴的。
直前がキャリアの転換的決定作「浮き雲」、盟友マット・プロンパーの急死という事もあり、どうしても考えてしまう。
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