実際に起きた猟奇殺人事件を題材とした同名小説の映画化。
女優志望の若い女性が惨殺されたブラック・ダリア事件が物語の中心となるが、色々と詰め込み過ぎて集中力が削がれた。
少女強姦と老女撲殺の犯人を追う張り込みは、出所した強盗犯とリーの過去に繋がるが、その伏線も回収も本筋からの脱線に思え、ダリア事件が霞んだ。
バッキーがビルの階段からリーを見上げる場面はスリリングで、背後のシルエットや落下のスローモーションなどのデ・パルマ技法が味わえて、そこが最高潮だった。
全体的に分かりづらく、いまひとつ面白味に欠ける展開で退屈な時間が多かった。セピアがかったノワールの雰囲気も魅力がなく、退屈に拍車をかけた。
映画界の闇に入り込み、狂気で未解決事件に決着をつけた後、怒りと憎しみを込めたラストの弾丸が後味の悪さとやるせなさを残した。