まーしー

ブラック・ダリアのまーしーのレビュー・感想・評価

ブラック・ダリア(2006年製作の映画)
3.0
1947年にロサンゼルスで実際に起きた「ブラック・ダリア事件」。
それは、体を切断された女性の遺体が発見されるという、残忍なものだった……。
この未解決事件を大胆にアレンジしたミステリー作品。

原作となった小説は未読だが、当時の流行映画『青い戦慄(ブルー・ダリア)』から「ブラック・ダリア」と命名されたとか。
猟奇殺人事件を元ボクサーの刑事2人が追うという、外形上はありがちな内容だろう。

ただ、良くも悪くも特徴にあふれた映画だった。
カメラの長回しやスローモーションを使った演出は、いかにもブライアン・デ・パルマ監督らしい。
また、紫煙が漂う警察署内や色調を抑えた景色は、同監督の『アンタッチャブル』を連想させる。

しかし、残念ながら内容は『アンタッチャブル』に遠く及ばないだろう。
猟奇殺人事件を題材にするも、その真相は極めて複雑。登場人物の多さや共感しにくい犯人の動機は、作品が放つ世界観に没入しにくい。
主人公2人の刑事と親しい女性や、被害者の“ブラック・ダリア”とよく似た女性が登場し、男女関係も複雑化。
暗い雰囲気が漂いつつも、全体的にごちゃっとした印象は拭えない。

とは言え、個人的には定期的に鑑賞したくなる作品。
ジョシュ・ハートネット、アーロン・エーカット、スカーレット・ヨハンソン、ヒラリー・スワンクなど、ハリウッドを代表する俳優が名を連ねており、キャストは豪華そのもの。
作品に「惜しさ」は付きまとうも、事件解決と魅惑的な女性に熱を上げる刑事2人の生き様は、観ていて熱くなるものがあった。