あんがすざろっく

ディープエンド・オブ・オーシャンのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

5.0
明けましておめでとうございます。
約一年間のご無沙汰でございます。
フォロワーの皆様、お元気でいらっしゃいますか。

ダラダラと長い前置きになりますが、
しばらくお付き合い頂ければ幸いです。

この一年間、レビューをあげていなかったのですが、決して忙しかった訳でも、体調を崩した訳でも、全く映画を見ていなかった訳でもありません。
むしろ映画は、配信でかなりの本数を見れるようになったくらいです。

ではなんでレビューをあげなかったのかと言うと、レビューの書き方に迷うようになったからです。
フィルマを始めた当初こそ、一本の作品に2、3行程度のレビューで済ませていたのですが、慣れていくと、やはり作品に対する思いとか、自分にまつわるエピソードを書いていかないと気が済まなくなり、日に日にレビューが長く、膨大なものになっていきました。
しかし、一本の作品に傾ける情熱というか、自分の思いをレビューに込める気力がどうも無くなってしまい、どのスタンスでレビューを書いていったらいいのか、分からなくなったんですね。
最初の頃のように、短く書いたらいいか、でも好きな作品のことは際限なく語りたい。
この板挟みだったわけです。
でも、このフィルマで出会ったフォロワーさんとの出会いも、とても大事なものだし、試行錯誤ながら、もう一度レビューを書いていこうかな、と思い至った次第です。

はい、相変わらず長い〜。
すいませんね、毎回グダグダと。
そんな訳で、レビューを再開したいと思います。




さて、レビュー再開一本目に選んだのはこちら。
ようやく本題(笑)
最近、家族の在り方を考えさせられる映画を見るようになりまして。
劇場で観た時から大好きな作品なのですが、
久しぶりにDVDを引っ張り出し、新年から見ておりました。







"怖くなかったよ。君が来てくれるって信じてたから、安心してたんだ。"

アメリカ、ウィスコンシン。写真家のベスは夫のパット、3人の子供に恵まれ、幸せに暮らしている。ベスは9歳の長男ビンセントと、3歳の次男ベンを連れ、高校の同窓会に出席するが、その最中にベンが行方不明になる。警察や知人の協力を得て、大規模な捜索が行われるが、ベンは発見されないまま、年月が過ぎていく。9年後、思わぬ形でベンはベス達の前に現れる…。バラバラになった家族が、再び繋がるまでを描いたドラマです。

家族の再会の流れが、まさかと思うような展開ではあるのですが、それが全くひっかからないのはしっかりとした物語とリアリティがあったからだと思います。
家族の再生を願う両親、しかし必ずしも子供も同じ気持ちであるとは限りません。
親は自分達が最初から作り上げた家族だから、そう思うのは当然なんだけど、小さい頃の記憶がない子供には、長い間いなくなっていた兄弟がいきなり現れても、それは外部から来た誰か、という気持ちも捨てきれないんじゃないかな。
産みの親、育ての親、どちらにしても子供は親の所有物ではないですよね。

あるべき家族の形にこだわるが故に見えなくなっていたもの。
それが徐々に映画全体に染み渡っていき、ラストの静かな光景は、決して諸手をあげての大団円でないものの、わずかな希望と、ともすれば崩れてしまうかも知れない家族の脆さが描かれていて、とても素晴らしい余韻。

主人公ベスにミシェル・ファイファー、夫のパット役にトリート・ウィリアムズが扮し(当時の彼は
クセの強い役ばかり演じていたイメージがあったので、普通のお父さんは意外でした)、何の前ぶれもなく子供を失った夫婦の焦燥感と、再び訪れた家族の再会を、必死で守ろうとする姿を熱演しています。
そんな中で緩和剤になったのが、ブリス刑事役を演じたウーピー・ゴールドバーグ。
レズビアンという設定が物語にあまり活かされていなかった感はありますが、重くなりがちなテーマの中にユーモラスな空気を吹き込み、ベスやパットを支えています。

ベン失跡時、捜索に奔走、疲弊し、久しぶりの我が家に戻ってきたベスを迎えた、9歳のビンセント。お母さんに見せたいもの、見てもらいたいことがたくさんあるビンセントは、何度も何度もお母さんのことを振り返りながら、自分の部屋へと誘っていきます。
まるで、お母さんがいなくなるんじゃないか、という不安と、甘えたい気持ちを押し殺しているかのようなその仕草に、とても胸を締め付けられました。

地味な作品ではありますが、良質なドラマであり、久しぶりに見返して改めていい映画だなぁと思わざるを得ませんでした。

2022年、良いスタートがきれたと思います。
フィルマにもあまり頻回には来れないかも知れませんが、今後とも、宜しくお願い致します。
あんがすざろっく

あんがすざろっく