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俺たちに明日はないの針のレビュー・感想・評価

俺たちに明日はない(1967年製作の映画)
3.5
一生観ずに終わりそうなやつを観るシリーズ。いわゆるアメリカン・ニュー・シネマの代表作。
完全に古典になったってことかもしれませんが、いま観るとわりとふつーかなぁというのが正直なところです。

世界恐慌期に実在した男女コンビの犯罪者、ボニーとクライドがあっちこっちで強盗しながらアメリカ中を旅するミニ・ロードムービー。序盤は仲間を増やして次の町へって感じなんだけど全体的には筋というほどのものもなくて、なるべくしてなる運命へとひた走ってく感じ。

思うに犯罪者としての生き方に男のプライドを賭けていたクライドと、男女ふたりの終わり“ある”逃避行を夢見ていたボニーとでは抱いている理想にけっこう隔たりがあったような。そのへんが作中唯一のドラマかなぁ。

不景気な時代にあちこちの銀行を荒らしてまわる2人は庶民にとっては一種のヒーローになっていくし、たぶん公開当時の観客は空気的にも彼らに憧れる気持ちがまあまあ強かったんかなーと思う。けど今となっては正直あまり共感できんかなーというのはありました。(単に自分が歳食っただけかもしれませんが……社会性を全部ふり捨てたらどうなるかっつうのが結構想像できるようになっちゃったので……)

その他
・銃撃シーンのカットの切り替えが非常にすばやくてけっこう迫力がありました。
・クライドたちがバンバン車を乗り換えてくのを見ると、当時の車はとにかく盗みやすかったんだなーと思いました(本当にこんなかな)。
・ボニーが老いた母親に会いに行く、ちょっとくぐもった画面で映されるシーンが印象的でした。
・Wikipediaによるとメインキャラを演じているウォーレン・ベイティ、フェイ・ダナウェイ、ジーン・ハックマンらにとってはこれが出世作になったようですね。
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