タカシサトウ

アパートの鍵貸しますのタカシサトウのネタバレレビュー・内容・結末

アパートの鍵貸します(1960年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

[ラストも上手い]

 ラストでシャーリー・マクレーンのフランが、バドの元へ走り出す時の生き返ったような顔、そしてエンドクレジット前の「配って」という言葉が、涙が出る程良かった。

 ジャック・レモンのバドの方は、コメディの上手さも、さることながら、彼が殴られて「ちっとも痛くない」と言い、かえって愛を確信した所がホントにいい。

 また、ピストルの音と思わせてシャンパンの栓だったことなどビリーワイルダーの演出の上手さには驚かされる。ユーモアと人間賛歌(ペーソスも)が感じられる。

 何とも洒落た、そして粋な映画。(2015.11.15)

 裏テーマとして、シェルドレイク部長(フレッド・マクマレイ)がバクスターからすべてを奪おうとすることに象徴される“搾取する資本主義”批判(町山智浩の解説による)は、ちょっと分かりにくかったが、言われてみればそうかもしれない、と思った。

 どんでん返しのようなラストの締めくくりと、あえて余計なことを言わない幕切れが涙ものの、ビリー・ワイルダーの最高傑作だと思う。(2021.2.21)