ワイルダーの華々しいフィルモグラフィーの中でも最も素晴らしいものの一つだろう。破茶滅茶な前作「お熱いのがお好き」とは一転して洗練された語り口で男女の報われぬ恋の悲喜交々を描出する見事な手練れぶりはどうだ。さりげない伏線をさりげなく回収。お洒落な会話と雰囲気。テニスラケットやシャンパンなど小道具の扱いの巧みさ。駄目男に騙され続けるおバカなシャーリー・マクレーンの可愛らしさ。そして何と言ってもジャック・レモンの可笑しみと哀感が堪らない。口先ばかりの嫌な奴はモテモテなのに、真っ直ぐで善良な人はさっぱりモテないと言うのはあるなぁ。とは言え彼とてアメリカ的な完全無欠な善人としては描かれていない辺りが奥深い。そして女心はいつの世でも不可思議なものである。再…鑑賞。
