SHIMABOO

A.I.のSHIMABOOのレビュー・感想・評価

A.I.(2001年製作の映画)
4.0
 「ピノキオ」であり、かつあまりにも壮大なSF叙事詩。傑作。

 言ってみれば、『ブレードランナー2049』とコインの裏表のような存在の映画である。自分が人の子である証拠を探し求める、レプリカントの刑事ライアン・ゴズリング。一方で真っ正直に「ピノキオ」のブルー・フェアリーを追い求める本作のハーレイ君。だがその抒情性(素直に泣ける、ということ)においては、『ブレラン2049』は『A.I.』にとてもかなわない。いやだって、スピお得意の子供のお涙頂戴映画なんだから当たり前じゃねとか思ってるそこのアナタ、違いますって。これは「愛」を求めるという、全人類に普遍の想いを貫く主人公のひたむきさが、我々の琴線に触れる。そう、初代『ブレードランナー』のロイ・バッティがついに手に入れられなかった、愛する人のぬくもりの記憶である。この映画では(ロイ・バッティほどではないにしろ)大分突き放したような幕引きだが、それよりもむしろ、逃げずにこの壮大な一代記を語り切ったことを称賛したい。

 あとなんか、ちょくちょく実相寺昭雄っぽいカメラアングルが入るのは気のせい?スピルバーグがこんな演出家だったのかと(じつはあまり観てないので)かなり意外な印象。
SHIMABOO

SHIMABOO