それなりに楽しめた。オチに関しても「それだけはヤメてくれよな～」と思っていたらいともあっけなくそっちの方、つまり最悪のシナリオへ持っていかれ、そして盛大にこっちがズッコケた後での力業のひとひねりで「おお～」という感じ。総じて伏線の拾い方はお見事。しかし一方何とも言えない、微妙な感触のカタルシスだなあという印象もあり、自分の中で不完全燃焼感の強い一本でした。
微妙なところは色々あるが、あちこちの設定で戸惑うところがあったのはデカい。ストーリーに関わるので詳しいことは伏せるけども、例えば時間の流れが速くても髪の毛と爪が伸びない理由の説明からしてガバガバである。「髪と爪は死んでいるから成長しない」って……毛根とか、爪の根っことか、それを生成する人体の器官は生きてんじゃないの！？ まあそういうもんだと納得してしまえば良いんだろうけど、うるさい人（＞俺）には随分引っかかる部分ではあった。
それとやはり絵的に地味ではある。物語が走り出した後の背景は砂浜、海、岩、遠くに森と、大体こんなもん。エンドクレジットを見るに場所はドミニカの某ビーチリゾートらしいが、もっと変な場所でも良さそう。或いは登場人物をもっと増やすとか。「この特殊な状況下で一体どんなことが起こりうるのか」は当然きっちり描かれていて、それは大変観ていて楽しかったのだけど、この際個々のキャラクター描写なんか捨ててしまって倍ぐらいのネタを投入し、只ひたすらに砂上の大変死大会が見たかった……というのは俺個人の勝手な願望なんですけどハイ。
