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A.I.のNのレビュー・感想・評価

A.I.(2001年製作の映画)
3.3
2019.5.26(Sun)
SF映画観ようと思って鑑賞。
AIやアンドロイドと言ったら人間よりはるかに知的で完璧な存在だと思ってたけど、デイヴィッドは本当に人間の子供みたいな設定なんだなと思いました。ただ母親の愛を希求することだけに完璧に特価した存在。
ジョーの言った「人間がロボットに期待しているのはサービスのみだ」みたいなことが、この作品においては真理だと思います。この作品において人間は誰もアンドロイドを対等な存在と見なしてない。でもこういうふうに絶対的にアンドロイドを人間の道具と捉える価値観は成り立たないと思います。セクサロイドとしてジョーが登場して上記のような台詞を言ったけど、セクサロイドだからこそ彼を尊重する人だっているだろうし、そういう関係を持っていく中で芽生える情もあると思います。人間はペットにだって愛情抱くし、逆に人間を同じ人間と見なさないようなことする人だっているじゃないか。人間がAIに恋する『her』をこの作品の前に観たけど、そっちの価値観の方が現実味があると思います。
「人間は1度自分たちの仲間と見なせばその対象にも心があると認識する生き物である」と最近読んだ本に書いてありました。この作品はそれが人間のエゴや身勝手さっていう悪いかたちで表象してる場合を描いてるということだと思います。でも、たしかに人間が人間の都合で作りだしたものなのに用がなくなったら捨ててっていうのは身勝手だと思うけど、身の回りに溢れてる物にだって我々は同じことをしているじゃないか。それが人間と同じ見た目をしているということだけで同情したり批難したりするようになること自体も人間のエゴなんじゃないかと思います。だから、良くも悪くも人間は自分たちの仲間と認識するかしないかということに大きく囚われているということだと感じました。
『her』みたいな価値観や、SF映画によくある人間に反逆するロボットに対して恐れを抱く価値観も絶対存在するはずなのに(後者はこの作品でもあるみたいだけど)、人間がロボットを奴隷のように扱うエゴまみれの悪者にしか描かれてなくて、あんまり現実味がなかったです。人間とアンドロイドの関係において大事なのは、人間に使役されるだけのアンドロイドに同情して身勝手な人間に怒ることじゃなくて、じゃあ同じように扱われる他の道具はいいのになぜアンドロイドはそれが許されないのか、ではアンドロイドや物と人間はどのような関係を持つべきなのかというようなことを考えることだと思います。というわけで、問題提起するという意味では価値のある作品だと思うけど、感情より思考が先立ってしまって感動はあんまりできませんでした。
ただ、主役2人の演技はとても素晴らしかったです。ハーレイくんは水中でよくあんなに長い間目をしっかり開いたまま瞬きしないでいられたなと感心しました(そこ)。あとジュード・ロウの色気が凄まじかった。今でも綺麗に歳を重ねてるなっていう印象だったけどやっぱり若いときの色気は圧倒的に段違いで凄まじかった。物静かで落ち着いた役のイメージが強かったのでジョーの役柄も新鮮でよかったです。
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