ゆーさく

旅立ちの時のゆーさくのレビュー・感想・評価

旅立ちの時(1988年製作の映画)
3.8
過激な反戦運動によってテロリストとして指名手配されている両親と共に、各地を転々と逃げ回る生活をしている息子ダニーの青春物語。


確かに欠点だらけの身勝手な両親だとも思うけど、愛情深さは随所に感じられた。

たぶん、子どもの行く末のこと何も考えずに過ごして来たわけじゃなくて、いっぱい考えようとしたけどやっぱり離れられない!っていう葛藤の果てのあの生活なんかな、って思った。

子どもの将来考えて眠れない夜もあったんじゃないかな、それを何とか自分を誤魔化しながら、忘れたフリして暮らしてて。。。そんな気がする。

そういう両親の弱さも含めてのこのドラマ。
息子ダニーの物語である以上に、両親の精神的成長を描いた話でもあったな。

長男ダニー役のリバー・フェニックス。このナイーブさが色気に直結してる感じはなかなか出せないよな。
すげえ良い子ちゃん役やのに、色気も湛えれるっていう。

先生に頼まれたらピアノだって弾くし、お父さんの言うことは素直に聞くし、好きな子の前で泣きながら想いを吐露するし。

ワイルドな不良みたいなんが色気醸し出してるみたいなんはありふれてるけど、そうじゃないねん。
めっちゃ良い子やねん。でも色気ある、っていう。稀有やね。


ラストシーンのあの短くスパッと終わらせる感じ、アレ良いよね。
変にダラダラ別れのシーンやらない。
後日譚みたいなのも入れない。

少し寂しくて、でも希望溢れて、鮮やかな終わり方。


ちょっと『コーダあいのうた』思い出したかも。テーマ結構被ってへん?
依存的な家族と音楽への道に板挟みになって、葛藤があって、最後は自立、っていう。

なかなか良い映画やったな。
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