このレビューはネタバレを含みます
小さい頃両想いだった韓国人の男の子と女の子が、24年後ニューヨークで再会するけれど、その頃にはお互いに決まったパートナーがいて…っていう話。アメリカ映画やけど劇中ほぼ韓国語。
話の骨格だけを見ると、主役二人の間にほとんど何も起こってない。本当に予想した通りにしか話は進まない。
二人の内面に巻き起こる感情の中にドラマを見つけるような映画。
見応えは無くはないし、悪い映画じゃないけど、もうちょっと演出に色気があっても良いんじゃないのってくらい画が静か。
ストーリーはそのままでええから、劇伴で盛り上げたり、映像的に盛り上げたりして欲しい所結構あった。まぁそういう“媚び”は徹底して排除した作風なんだろうけど。
あと描かれる時代が、子供時代(12歳)、その12年後(24歳)、更に12年後(36歳)、の3つの時代なんやけど、それぞれの時代と時代の間、劇中では描かれないその12年間にあんまり重みを感じられなかった。
主役二人の見た目は歳を取った風にも見えないし、基本的に同じ友人や恋人と関係を続けているから、12年という長い月日を想像させるだけの、積み重なっていく何かが物語の中に見つからなかった。セリフでは主役二人の12年前とは違った現状が説明されるけど。それはただ単に設定がそうだというだけ、な感じ。
仮に「3年後」やったとしても大して印象変わらんかったと思う。24年という長い時間を描くにはこのシンプル過ぎるストーリーは荷が重すぎたのではないか。
ただ、
二人がお別れするラストシーン、ウーバータクシーを待つ長い沈黙は良かった。あんなに雄弁に語る沈黙は滅多にない。
そしてタクシーに乗ってヘソンは去っていき、自宅へと歩き出すノラ。自宅前の階段で待っている夫アーサー。ノラの心情を察した彼はノラを優しく抱き締める。
あの長回しシーンには主役二人の間に積もった24年間がのしかかるようなエモーショナルさがたしかにあったと思う。
個人的にはノラの夫アーサーの気持ちの流れが一番ドラマチックだなと思ってしまった。
妻の初恋の相手、それも24年の想い人というドラマチックさでは太刀打ちできない相手を目の前にして、冷静さを保っていられるかどうか。
三人で食事に行くシーンは、アーサーの気持ちになると居た堪れなくなった。
気を遣って主役二人の話を遮らないようにしてはいるが、韓国語で親密に話し始めた二人を、どんな気持ちで見守っていたのだろう。
ノラとヘソンはもうちょいアーサーに気を遣うべきやな。
