ゆーさく

カード・カウンターのゆーさくのネタバレレビュー・内容・結末

カード・カウンター(2021年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

うっかりポーカーを題材にした映画やと思って、どんなスリリングなカードのやり取りや心理戦を見せてくれるんかなって期待して観たら、もうそんなんどうでも良くなるくらいえげつない内容でたまげた。

もうポーカーどうでもええ。ポーカーどころじゃない。

やってる事ほぼスコセッシの「タクシードライバー」やけど、もっと生々しい。精神蝕まれる。

イラク戦争の捕虜収容所で尋問官を務めていた男が、PTSDを抱えながらポーカーで日銭を稼いで暮らしている。
そんな彼が、とある事情を抱える少年と出会い、贖罪の旅に出る、という話。

彼が務めていたのは、実はあの悪名高いバグダードのアブグレイブ刑務所。実際にイラク人収容者に対して米軍が行った残虐行為の写真が出回って大きなニュースになった、あの場所。

尋問と言い張ってはいるが実態は虐待・拷問であり、その頃自身が行った残虐行為の凄惨な記憶がたびたびフラッシュバックしては彼を苦しめる。

この辺の悪夢描写がR-15。物凄いノイズ音楽と共に拷問行為が映される。
なんかえれぇ独特でサイケな撮り方されてて普通に気分悪くなる。地獄絵図。なんやあのカメラの撮り方。

オフビートな静寂がもたらす緊張感。オスカー・アイザックの温厚に見えて、でもやっぱり常軌を逸してる、見てて安心できない「やべぇヤツ」なキャラ作りは流石。
いつさらなる悲劇に堕ちてしまってもおかしくない危ういポーカー旅行。結末は、ああ〜そうなりますかぁ。。。って感じ。

彼に完全な癒やしがもたらされる事は無さそうやけど、それでもカンダタの蜘蛛の糸みたいに一筋の希望が残るラスト、見ごたえあった。
ゆーさく

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