エディ

激突!のエディのレビュー・感想・評価

激突!(1971年製作の映画)
4.0
突然ですが、みなさんは追い抜いたトラックにどこまでも執拗に追われる恐怖を味わったことがありますか?

自分は学生時代に愛車で北海道を旅行した際、内陸部の一本道で高速で走るトラックを更に高速で追い抜いたとき、延々と追われた恐怖を何十年経った今でも忘れない。ミラー越しに見るフロントガラスの奥の人の表情が見えないので、まるでトラックが意思を持って襲い掛かってくるかのようなのだ。リミッターを切る180キロを出しても直ぐに追いつかれるが、途中に逃げ道はなく次の集落まで数十キロ。。。ケツに付かれるとクラクションを鳴らされるが、飛ばしすぎると突如横断する鹿を轢きかねない。路面のちょっとしたでこぼこで車は大きくバウンドするが減速すると衝突しそうになる。。。

この映画はそんな恐怖を描いた秀逸な作品だ。しがないサラリーマンデビッドは仕事の為目的地へと急いで車を走らせていたが、ドン臭い大型トラックに阻まれて苛立った。なんとかして追い抜いてあとは快調と思っていたら、直ぐ後ろにはそのトラックが迫っていた。どんあに飛ばしてもトラックは迫り、ぶつけて威嚇する。恐怖に駆られ、途中で譲ったが、そのトラックはデビッドが前を走るのを待っていた。。。

運転手の顔は最後まで見えないので、この映画の実質的な主人公はデビッドとトラックだ。大型トラックがまるで意思を持ってデビッドを殺そうとしているかというくらいにひたすら追ってくるのだ。逃げても先に行かせても、違う道にずれても、何があってもトラックは後ろについて、デビッドの車後部を突き上げて「もっと飛ばせよ」「対向車線に出て衝突しろよ」と迫ってくるのだ。

脚色なくとても現実的な設定なので怖い。本当に怖い。

何十年も前の映画だが、この怖さは今の時代でも十分に感じることができると思う。
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