くろねこヤマ子

早春のくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

早春(1970年製作の映画)
4.2
キリキリ思春期もの。

齢15歳の(美)少年が
職場の年上女性に恋し、
拒絶され、
精神的に追い詰められ、
悲劇へ向かう物語。

生きる目的を掴みきれない少年は
清らかなものを相手に求め、

相手からの拒絶に対しては、
これほどまでに繊細で且つ
自己中心的な反応をするのかと唸らされる。
(そして何となくわかる気もする)

瞳孔が拡張したショットの挟み込みに
狂気から抜け出せないことを知る。

引いたカメラワークからは
心の針が良くない方向へ振れていく姿を
間近で覗き見している感覚にもなり、
目が離せなくなる。

やたらと長い黄色のコートも
白いテカテカのロングブーツも
オレンジの髪も、
60sイギリスポップカルチャーが
色褪せ、醜くなった残り香のよう。

閉塞感増す70年代英国の空気が
逆に渋くカッコ良い。

射す朱赤にハッとする。
パネルと共に沈むシーンは青く官能的。

ジェーン・アッシャーってこんな人だったんだ。
ポールはバカだなって、ついでだけど思った。