Tラモーン

ダイヤルMを廻せ!のTラモーンのレビュー・感想・評価

ダイヤルMを廻せ!(1954年製作の映画)
3.8
お久しヒッチコックです。


元テニスプレーヤーのトニー(レイ・ミランド)と資産家の娘マーゴ(グレース・ケリー)は一見幸せな夫婦であったが、その実2人の関係は冷め切っており、マーゴは推理作家のマーク(ロバート・カミングス)と不倫関係にあった。それに気が付いたトニーは妻を殺害し資産を手に入れることを計画。前科者の旧友スワン(アンソニー・ドーソン)を脅迫し1000ポンドの報酬と引き換えにマーゴの殺害を依頼する。


やっぱり相変わらずの面白さ。
冒頭は不倫関係の2人と、それに気付かないふりをしながら冷めた目で彼らを見る夫の日常がダラダラと描かれるものの、トニーがスワンを呼び出したあたりから一転して徐々にシリアスモードに。

綿密な妻の殺害計画を生き生きと語るトニーの目の座った明るい表情が不気味。はじめは渋っていたスワンも覚悟を決めて前金の100ポンドを懐に入れるときの顔が悪い!ちなみに今作ヒッチコック本人カメオは2人の同窓会の写真のなか。

そして実行された殺害計画が思わぬ方向に転がったことから事態は思いもよらぬ方向に。

他の作品と比べるとハラハラ度は劣るものの、切れ者ハバード刑事(ジョン・ウィリアムス)が出てきてからの推理サスペンス的な展開はかなり面白い。
トニーが黒幕であることを知りながら、予想外にマーゴに疑惑がかけられていく展開は、この先どうなるのかと興味をそそる。

取り調べから裁判、判決に死刑宣告までをグレース・ケリーの顔面力だけで演じさせたあのシーンは『めまい』の悪夢のシーンを思い出させる。それだけマーゴには恐怖だったんだろうな。

このミスリードどう回収すんねん…と思っていたらやっぱりハバード警部凄腕やん!となる終盤の怒涛の推理、まさに鍵となる部屋の鍵、そしてトニーに仕掛けられた罠と、思わず唸ってしまうような気持ちのいいラストまで一気に駆け抜ける。
ラストシーンもまたお洒落。


それにしたってグレース・ケリーは美しいな…。と思うけどそもそも浮気したのはマーゴじゃね??と身もフタもない事が少し気になったり笑。
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