Tラモーン

ミッション:8ミニッツのTラモーンのレビュー・感想・評価

ミッション:8ミニッツ(2011年製作の映画)
4.0
ずいぶんと前からクリップしっぱなしだったやつを。意外とさっくり90分。


アメリカ陸軍のヘリのパイロット、スティーヴンス大尉(ジェイク・ギレンホール)は目を覚ますと列車の中にいた。目の前のクリスティーナ(ミシェル・モナハン)と名乗る見知らぬ女性は親しげに話しかけてくる。鏡に写る自分の顔は別人で、免許証にはショーンなる人物の名前が。事態が飲み込めず混乱していると列車は大爆発を起こし乗客は全員死亡する。爆発後、スティーヴンスは操縦席のようなカプセルの中で目を覚まし、グッドウィン大尉(ベラ・ファーミガ)から自分が列車爆発事故の被害者の意識に同期されていたことを聞かされる。そして爆弾魔を見つけ出すため、再び爆発直前8分前に送り込まれる。


映画の構成的にネタバレは避けたほうが望ましいので核心には触れません。

タイムリープものの名作という評価を期待して鑑賞。
たしかになかなか明かされない全貌や、事件の被害者の意識に入り込み、死亡するまでの8分間を何度も繰り返しながら事件を捜査していく展開は完全にSF。

しかしこの作品はジャンルとしてはSFサスペンスでありながら、人としてどう生きるべきかという人間讃歌的なメッセージが込められているように思う。

死を何度も繰り返しながら爆弾魔を突き止めるという精神的に過酷な任務のなかで、現実世界にいるときに断片的に明かされていく非情な現実。
繰り返される生と死の中でスティーヴンスは自分がどんな人生を生きて、どんな死を死んでいくのかを考える。

"国のために死ぬのは一度で十分です"
"やはり死を望みます"

国のため、大義のため、任務のためではなく自分のために誰かを救いたいと願った最後のスティーヴンスの行動がめちゃくちゃ泣かせる。
父親と愛する女性、そして列車の乗客たちが苦しまず幸せに生きる未来を守りたかった。

静止画になったあのシーンで終わってもよかったかなって思ったけど、ラストシーンで彼の記憶の断片の理由がわかったときに、スティーヴンスの使命はこのためだったんだなって、めちゃくちゃ素敵だと思った。

"運命を信じる"
"うまくいくって伝えてやってくれ"


ダンカン・ジョーンズは『月に囚われた男』でもそうだったけど、SF映画のツラして人間ドラマで泣かせてくるのが上手すぎるよ。もっとたくさん撮ってほしいな。
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