登場人物の名前に海産物が入ってるところは『サザエさん』っぽいなあと思ったが、冷静に考えればこっちの方がずっと古いんだよね。
正しくは『サザエさん』が『赤西蠣太』っぽいということか。
現存している数少ない伊丹万作作品。
本作も少し欠けていて完全版ではなく、しかも画質や音声も悪く、内容を把握するのに少し時間かかった。しかも伊達騒動知らないとさらに厳しいんでないかしら。
雨降るシーンでいきなりショパンの『雨垂れ』が流れたりとか今となっちゃ何だこんなのと思うのだが、何しろトーキーになってまだ十年も経ってない頃の作品。当時の人にとっては大変斬新に映ったのだろう。
当時《六剣聖》と称された面々の中で殺陣が上手い方ではなかったという千恵蔵だが、本作を観ると他の阪妻、大河内、月形、アラカン、右太衛門の五人とは明らかに狙っている路線が違っていたように思う。
ニャーニャーうるさい猫をみんなで押し付けたりとか、使いの者を何度も門番のところに行かせたりと天丼ギャグも駆使しているのも面白い。
一番はやっぱり世界一危険な腸捻転の治療シーンだと思う。実際には映さないけど(映したら大変だ)、台詞から想像するだけでもゾッとする。
あと原健索が若い。そして同じく若いはずなのに後年と全くルックスが変わってない志村喬にビビる。
■映画 DATA==========================
監督:伊丹万作
脚本:伊丹万作
音楽:高橋半
撮影:漆山裕茂
公開:1936年6月18日(日)