円柱野郎

砂の器の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

砂の器(1974年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

松本清張原作の同名小説の映画化作品。
蒲田操車場で発生した殺人事件を追う刑事によって、犯人の悲しい過去が明らかとなっていくサスペンス。

序盤から唯一の手がかりを元に日本各地を足で捜査する刑事の姿を追い、まさにサスペンス劇場のような感じで展開していくけど、途中挿入される音楽家の話が次第に捜査線上に浮かんでくるあたりから様子が変わってくる。
そして「宿命」という曲をバックに今西刑事が犯人の過去を捜査会議で語り出した日には…、もう悲しいったらないね。
何という悲劇か。
今西刑事が面会した千代吉が「こんな奴は知らん!」という場面なんかは涙無しでは見られないです。

まあ、この一連のクライマックス部分は煽りが非常に巧い。
曲自体に意味を持たせた上で、その曲を作った人物の過去を描く。
そこに描かれる四季と彼らの姿、少年の目と音楽が被る。
とても文章では出来ない表現で、ある種、映画的表現の完成系だと思いますわ。

邦画史に残る名作というのもよく分かります。

今観ると、70年代当時の日本の風景がまた良いね。
作品の舞台は60年代という事ではあるけども。

田舎の風景や昔の都会、レトロなバスや、国鉄の車両は趣があるし、チラッと映る3代目の大阪駅にはオオッっと思ってしまったw
(俺の生まれる前には4代目駅舎になっちゃったけどね。)
円柱野郎

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