馬鹿なのも、たまには悪くないおはなし。
まぬけなコンビが、コメディリリーフとしていゝ塩梅に苛立ちと笑いとを誘う。なにかにつけて喧嘩ばかりの腐れ縁な仲だったからこそ、最後の掛け合いにはニヤリとしてしまった。そうかこれがあのC-3POとR2D2のモデルなのかと思うと、なんだか感慨深い。
真壁六郎太(三船敏郎)の嘘にまんまと騙されるのも面白かった。
そうして三船敏郎がやっぱりかっこいい。どんな格好をしても隠しきれぬ武士の観は、この役柄と見事なまでに合うている。彼以外には務まるまい。
たゞ、すべてが優れているとは思えない。
姫(上原美佐)の声がなにか突っかかっているような気がするのだ。たしかに単なる”アマ”とは異なる、気品と矜持とを兼ね備えた美しき女性であることは疑いようがない。だがどうしても拭いきれぬ違和感が声にはある。
それでも、ハッとする構図が至るところに散りばめられていたり、また不思議な砦のように想像力を掻き立てられるシーンが幾つもあったりなど、観ていて面白いと感じる瞬間は何度となくあった。
すべてにいえることだが、屹度“敢えて”なんだろう。みなまで見せないこの作品に、観終わったあともなお興味が尽きない。