MASH

隠し砦の三悪人のMASHのレビュー・感想・評価

隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)
4.0
ザ・娯楽大作といった感じ。この監督の代表作である『七人の侍』などとはまた違った方向でエンターテイメント性が非常に高い。侍と姫、そして百姓二人が敵国突破するという冒険活劇物になっており、彼の他の作品に比べてもワクワク感というのが強く感じられる作品だ。

『スター・ウォーズ』に多大な影響をもたらしたということは有名であるが、個人的にはどこか『続・夕陽のガンマン』にも影響を与えているのかなと思う。前半で金を巡って百姓たちが三船敏郎演じる六郎太をなんとか出し抜こうとするあたりなどが、『続・夕陽のガンマン』でイーライ・ウォラックがクリント・イーストウッドを出し抜こうとするシーンに似ている気がする。

しかし、『スター・ウォーズ』や『続・夕陽のガンマン』がこの『隠し砦の三悪人』に影響されたのは設定などの表面的なことだけではないように思える。この映画の真の面白さとは「キャラクターの動かし方」なのだ。アクション映画にというものはアクションにのみメインが置かれがちであるが、根本を支えているのはキャラクターなのだ。それはキャラの設定だけではなく、彼らがどういう風に動いていくかということも含まれている。そして、『隠し砦の三悪人』はその点でずば抜けているといっても過言ではない。様々な映画が影響を受けたのはこのような「キャラの動かし方」なのではないだろうか。

しかし、前半1時間ほどは話自体にあまり進展がないのでややテンポが悪いように思えた。百姓たちの会話は面白いが、流石に1時間ずっと楽しんでいられるわけでもない。この分、後半からの活劇の盛り上がりが強く感じられるので、必要な1時間だったとは思うが、やっぱり2時間20分という時間が少し長く感じられた。

まぁ僕の好みが殺陣などがかっこいいギラついた時代劇映画というのもあり、そういう部分で少し物足りなくも感じた(そういう映画ではないのは百も承知であるが)。だが、そのワクワクドキドキする冒険活劇映画としてはこれ以上にない出来であると思う。どんな人にも勧められる作品だ。
MASH

MASH