Tラモーン

ショーシャンクの空にのTラモーンのレビュー・感想・評価

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)
4.5
名作と聞きつつ、いつかいつかと思いながらずーっと観てこなかった作品を満を辞して。

本当に素晴らしい作品だった。
まさに人間讃歌。生きることの尊さと美しさと力強さに満ちた映画だった。

無実の罪で投獄されたアンディは最初こそ刑務所でのコミュニティに溶け込まなかったものの、持ち前の知性と利他的な精神、そして心に熱い希望を持ち続ける芯の強さで自らの地位を確立していく。
ティム・ロビンスの作品はほとんど観てなかったけど、静かながら芯の通った演技が素晴らしかった。知的でありながら冷たい印象は全く無くて、希望を持ち続ける主人公がハマってた。

アンディが館内放送をジャックして『フィガロの結婚』のレコードを流したシーンの囚人たちの解放されたような表情が素敵だった。
「音楽は決して人から奪えない」
「心の豊かさを失っちゃダメだ。人の心は石で出来てるわけじゃない」
長い懲役に慣れ、生きる希望を忘れかけていた囚人たちに説くアンディの金言が刺さる。

「希望は永遠の命だ」

一方でこの映画のストーリーテリングの役割を果たすレッドを演じたモーガン・フリーマンの演技も本当に素晴らしい。塀の外を夢見ることすら無くなっていたレッドがアンディと触れ合うことで徐々に希望と人間としての在り方を思い出していく様は流石の名演技。
希望について否定的な考えだった彼が"I hope〜"という表現で語るラストシーンは胸が熱くなる。


とてもつらいストーリーなのかなと予想していたんだけど、以外にも鬱々とはしていなかった印象。ただ所々突き付けられる過酷な現実と絶望感は予想以上だった。
本来なら喜ぶべき仮釈放も希望を失ってしまった囚人にとっては刑務所よりも過酷な現実であること。光明が刺したかのように思えたトミーに襲い掛かる悲劇など、胸が締め付けられるような苦しみが続く。

そこからの映画的カタルシスに満ちた展開は予想以上の気持ちよさ。メッセージ性の強い作品でありながらエンタメ的な爽快感もしっかり押さえているのが名作と名高い理由なのかもしれない。
約20年にもわたる獄中生活から一転、生命の尊厳を取り戻すポスターにもなっている有名なシーンはこちらも手を挙げずにはいられなかった。

そしてアンディの存在によって希望を取り戻したレッドの行く末と、美しい海と空、そして2人の友情の結末は涙無しには観られなかった。

「俺は生きるぞ!」



以下、完全に私事ですがこの映画を観ながら32歳を迎えました。誕生日だし記憶に残るような名作がいいなとの思いからいよいよ『ショーシャンク』に手を出したわけですが、本当めちゃくちゃいい映画でした。ベタだけど生きてる以上、希望は持ち続けなきゃいけないよなと再認識。
腐っても希望は捨てない男になりたいものです。
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