みかん

海の上のピアニストのみかんのレビュー・感想・評価

海の上のピアニスト(1998年製作の映画)
3.8
大西洋を往復する豪華客船『バージニア号』。その船内で生まれ育った1人の天才ピアニストの数奇な人生を追ったファンタジーヒューマンドラマ。

機関士ダニーが船内で置き去りにされてた赤ちゃんを発見し、同僚にからかわれながらも一生懸命育てているシーンは、『ニュー・シネマ・パラダイス』で感じたこの監督ならではの、ほんわかした人間の温かさを感じてジーンとしました。

ダニーに愛情いっぱいに育てられた主人公1900(ナインティーンハンドレッド)。

天才的なピアノの才能を開花させて、船内専属のピアニストとして様々な人々との出会いと別れを繰り返す。

1900のピアノで慰められたという、家も家族も失って不幸のどん底にいた、アコーディオンを嗜む農夫。

「人生は無限だ」という海の声を聞き、たった1人残った末娘のため、アメリカで人生をやり直そうと決意して旅立っていく。

それから、船酔いで苦しむバンドのトランペット奏者との友情。
2人の出会いの、ピアノが豪快なワルツを踊るようなシーンは圧巻。

また、有名ピアニストとのピアノ対決。
超絶技巧のピアノ同士で勝負の行方に手に汗握りました。

船を降りて陸で暮らせば、または陸にそのピアノの才能を知らしめれば、地位や名声、富も手に入れられるであろうはずなのに、彼は拒む。

陸の上は終わりのない世界。

海の上で訪れる人たちにピアノを聴いてもらって喜んでもらえれば、それで幸福。

欲望には終わりがない。

無限にある選択肢の中、自分の居場所で、一本の道を生き抜くというのもまた一つの人生の選択。

終盤、1900の孤独の影や生き方など感情の吐露にしみじみと考えさせられました。

"陸の終わりのない世界は選択肢だらけで、その中の1つなんてどうやって選べるんだ?"

劇中を彩るピアノ曲がとにかく素敵で、ラストの儚く切ないほどの美しさには心打たれました。


★1900年に豪華客船の船内のピアノの上に、レモンの箱に入れられて置き去りにされていた、生後間もない赤ちゃん。

発見した機関士ダニーは、自分の名前や箱や西暦などつけて「ダニー・ブードマン・T.D.(Thanks Danny)レモン・1900」と名付け、機関士の同僚のみんなから「1900」と呼ばれダニーに愛情を注がれて成長していく。

ある日、1900は船内のダンスホールでピアノ見つけて音色を聴いていくうちに、驚くべきピアノの才能を発揮していき、、。
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