ナガノヤスユ記

さらば夏の光のナガノヤスユ記のレビュー・感想・評価

さらば夏の光(1968年製作の映画)
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偶然を装った出会いと別れの作為的連鎖によって、ヨーロッパ・ロケーションが全て無に帰す勢いで、結果とんでもなく奇妙な無国籍映画に変貌してしまった感。メインキャラクター2人の間には、障害や国境はあるようで無い、むしろ過剰に無い。はるばる異国の地を巡り巡って一体なにをしているんだろうか。ほんと頭おかしい。
表層では、旅先で出会った行きずりの男女の不貞を描いているようで、結局はヌーベルバーグもといヨーロッパのアート映画に食らってしまった吉田喜重の憧憬、「日本脱出」の目論見と相反するノスタルジア、内面的な矛盾が根幹であり全てである、というような見方はできる。
わたしだけのカテドラル、とは?
ごくごく簡素な線描だけで表された建造物、というのがミソだと思う。