ナガノヤスユ記

エリ・エリ・レマ・サバクタニのナガノヤスユ記のレビュー・感想・評価

4.2
中学生ぶりくらいに。あれを音楽と表現すること自体におおいに疑問を抱く人もいるだろう、というようなノイズの洪水。切り出した世界を丁寧に加工して提示するのとは違う、むきだしの音への純然たる信仰のようなものがある。なにかを疑いながら、同時に信じる、というところに救いの可能性があるのかもしれない。提示される数々の質問に、浅野忠信は驚くほど何も語らない。宮崎あおいの姿は、あきらかにEUREKAの延長線上にある。
地味にすごいことをやってのけている。ここまで純粋で、悪く言えば粗削り、邪念のないオリジナル作品を、今ふたたび産み落とす可能性はあるだろうか? 要不要の話ではなく、人知れずその可能性が滅してしまったとすれば、それは明らかな損失だ。