ひでやん

キートンの大列車追跡/キートン将軍/キートンの大列車強盗のひでやんのレビュー・感想・評価

4.2
でっかいスケールの鬼ごっこ。

南北戦争を題材に、奪われた機関車と恋人の奪還に燃える機関士を描いた痛快活劇。1926年て…約100年前に迫力満点のシーンをどうやって撮ったんだ?100年後の未来人を楽しませるキートンは凄いや。映画っていいな。

意気揚々と入隊志願し、拒絶されて意気消沈する序盤から楽しい。連結棒に座ったまま列車が走り出すシーンが素晴らしい。前半は追跡劇で、後半は逃亡劇という攻守逆転の構成は単純ではあるが、縦と横の構図で敵との距離を観客に見せながら、スリルと笑いを同時に巻き起こす発想は見事。

切り離された援軍で心細くなり、代わりに連結した大砲で心強くなり、そいつが自分に向くスリルと笑い。慌ただしく機関車の上を移動し、前へ後ろへ回って走って乗って降りて、体を張った危険なアクションを軽快な身のこなしで見せるキートン。落とす材木、切り替えるポイント、浴びせる給水塔、燃える貨車に落ちる橋。勇敢でドジな男が孤軍奮闘。

アナベルが小さな木片だけ蒸気釜に放り込み、穴の空いた木板を捨ててしまうシーンで笑った。敵のうっかりしたミスが除き穴となりジョニーの役に立ったり、ジョニーがぶっ飛ばしてしまった剣や上に向けてしまった大砲が強力な攻撃となる原因→結果が面白い。

アクション多め、笑い控え目という感じだった。列車ごと橋が崩れ落ちるシーンは圧巻。本物の列車で撮影したというから驚き。どうしてもチャップリンと比較してしまうが、キートンの喜劇にはチャップリンで感じる惨めさや哀愁ってものがなかった。
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