ぬーたん

セント・オブ・ウーマン/夢の香りのぬーたんのレビュー・感想・評価

4.0
1992年作品。もう26年前か。
最初に観た時は、あまり好きになれなかった。自分も若かったせいか目線はクリス・オドネルの高校生寄りだった。
しちめんどくさいオヤジ相手にイライラしてしまった。
数年前に再鑑賞したら、アル・パチーノ演じる憎らしい退役軍人に気持ちが入っていった。やだ、年取ったせい?
そして今回。もう私はパチーノ自身だ!

元々、アル・パチーノの演技がちょっと苦手。
『ゴッド・ファーザー』ではカッコ良かったし俳優としても嫌いではないのだが、喋り方とか仕草が大袈裟で、小さな体で役作り頑張っちゃっている感が前面に出てるような気がして。
一方、ライバルとして常に比較されて来たデ・ニーロは時に優しく時に激しく残酷にも恋愛にもコメディーもハマって、とやはり多才だし、個人的に大好きな俳優だった。
それはもうタッキーか翼か?とか光一か剛か?とかウッチャンかナンチャンか?昂生か亜生か?(こりゃ絶対亜生だわ!)とかいうレベルの比較なんだろうけど、個人の好みが分かれるところ。

さて退役軍人で盲目の初老の男。
眼球を動かさないリアルな演技で、高級スーツをビシッと着こなして。
カッコ良くて、流石にシビれた。
イタリア系の濃い顔にドスの効いた声、やっぱりインパクトあるわ。
クリスはまだ22歳だった。
綺麗な顔立ちに、素直で心優しい好青年の役が似合っていて、素敵。
今は48歳、イケメンです。
ドラマでは観るけど、映画はこれといって出ていないようで残念。
級友役でフィリップ・シーモア・ホフマン。
とても高校生には見えない!むしろ父兄でもいいくらい💦
実年齢は25歳でこれがスクリーンデビュー作。
小狡くて生意気な感じがクリスと対照的で上手かった。
そして早世が残念だった。
校長役はジェームズ・レブホーン。
地位の高いインテリな役が多い。
長身でドイツ系のクールな顔立ち。
多くの作品に脇役で出ていたが『ホワイトカラー』『ホームランド』などドラマでの役が印象に残っている。
4年前に65歳で亡くなった。
ドナはガブリエル・アンウォー。
可愛らしく、パチーノとのタンゴのシーンも良かった。
パトカーの巡査をロン・エルダート。
この方、結構好み♡です。
『ER』では救命士でキャロルの彼氏役だった。
甥役をブラッドリー・ウィットフォード。
上手かった。『ウォルト・ディズニーの約束』など現在も活躍。

わがままで意地が悪いフランクはやっぱり観ていて腹が立つけど、怒りよりも可哀想な気持ちの比重が増えた。
年の差のある2人のニューヨークの旅。
楽しいというよりは辛い旅。
車のシーンはちょっと!巻き添えになる?やり過ぎかな?と思ったが、
その後の憔悴した姿にジーンとなった。

ラストは感動的だった。
そしてラストシーンが重くなくて、爽やかで良い。
その先には光が見えた。
暗闇の中に。
ぬーたん

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