ひでやん

竜二のひでやんのレビュー・感想・評価

竜二(1983年製作の映画)
3.9
脚本、主演を務めた金子正次は、末期の胃ガンで大量の血を吐き病院に担ぎ込まれ入院。そして退院から二年後、ヤクザ映画の製作に乗り出す。

自主製作で金をかき集め完成させたが、公開期間中の11月6日に親友の松田優作らに看取られ33歳の若さで他界した。偶然にも松田優作が亡くなったのも同じ11月6日である。遺作となった渾身の一作。

敵対する組とやり合って、血で血を洗うという抗争はなく、妻と娘のため足を洗いカタギになろうとする男を描く。

この男、シブイ。シビれた。
イキがっていた若い頃の過ちを後悔しても、足を洗ってカタギになっても、竜二は違和感を覚える。本当のオレはこんな生き方じゃない…オレらしくないと。

ヤクザの竜二もカタギの家庭的な竜二も妻は受け止めて愛してくれた。
ラストシーンは切ない。
どうしようもない男の性だ。

長渕剛主演のドラマとんぼで、竜二の撮影手法を真似ている。長渕剛が演じた小川英二というヤクザの男は、竜二のしゃべり方や歩き方や雰囲気がそっくりだ。

竜二の劇中で流れるカッコイイ台詞。聞いたことあるぞ、というフレーズが耳に飛び込む。

花の都にあこがれて、飛んできました一羽鳥。
六尺足らずの5尺の~
刺せば監獄刺されば地獄~

な…泣いてチンピラの歌詞だ!
あちゃぁ…ツヨシ兄さん、パクっちゃってるよ…。

竜二の妻役、永島暎子は長渕主演の映画オルゴールで別れた妻役で出ている。
長渕剛は金子正次という男にかなり影響され、そしてリスペクトしているんだろう。
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