ひろ

ソーシャル・ネットワークのひろのレビュー・感想・評価

ソーシャル・ネットワーク(2010年製作の映画)
3.9
世界最大のSNSサイトのFacebookを創設したマーク・ザッカーバーグらを描いた映画

ベン・メズリックが書いた10数ページほどの企画書を目にした天才脚本家アーロン・ソーキンが、デヴィッド・フィンチャーを監督に指名し、脚本を少し読んだフィンチャーが即答で受諾したことにより全ては始まった。

2011年のアカデミー賞の最有力候補と言われ、公開後は世界中の批評家から絶賛されている。アカデミー賞の前哨戦であるゴールデン・グローブ賞では作品賞と監督賞など4部門を受賞した

まずこの映画の話題を耳にした時、監督がデヴィッド・フィンチャーと聞いてびっくりした。実話を基にした青年の物語をフィンチャーが描くっていうのが想像できなかったからだ。でも観たら納得した。これはまぎれもなくデヴィッド・フィンチャーの作品に他ならない

色調を抑えた暗い雰囲気はいつも通りだが、アーロン・ソーキンの難しく素晴らしい脚本を完璧主義のフィンチャーが完璧に映像化している。

大学時代のFacebook創設までの流れと、訴訟を起こされた現在の2つの時間軸を交互に見せる手法によって、マークだけじゃなくFacebookに関わった人たちのそれぞれの思いを偏ることなく描いているのが秀逸

冒頭のマークとエリカの会話のシーンを99テイクも撮影したことからも、膨大な台詞で綴られる物語を完璧に仕上げようとするフィンチャーの意気込みが感じられる。

マークが対人関係の構築が苦手だと描かれているが、天才にはそういう人が多い気がする。様々なものを利用し理想の物を作り上げるっていうのは、周りの凡人の反感を買うのは仕方ないことかもね。アップルのスティーブ・ジョブスやマイクロソフトのビル・ゲイツだって人のアイデアとかを利用したりしてたし、天才は利用できるものは利用しちゃうものなんだろうな

社交性のないマークが、5億人が加入する世界最大のコミュニティを作り上げたのは面白い。日本人は匿名性を好むから実名推奨のFacebookはmixiなどに負けてるけど、世界では断トツのSNSの創設者にして、25歳にして最年少の億万長者になったマーク・ザッカーバーグはやっぱりすごい

登場人物が若者ばかりだから、当然キャスティングも若手主体。フィンチャーに見出だされたからにはこれから期待の俳優ばかり

マーク・ザッカーバーグ役のジェシー・アイゼンバーグ。「イカとクジラ」などで評価された演技はもちろん、ミュージカルの脚本や作曲までこなしちゃう天才肌。天才マークを演じるにはまさに適役だったね。

エドゥアルド・サリベン役のアンドリュー・ガーフィールド。前から期待してた俳優だけど、「スパイダーマン」の新作の主人公にも選ばれたし、この映画でも一番人間味があり、多くの人の共感を得る演技をしていてよかった

マークをシリコンバレーに導くことになるショーン・パーカー役のジャスティン・ティンバーレイク。日本でも有名なシンガーソングライターだけど、重要な役どころを見事にこなしてて驚いた

ディヴィヤ・ナレンドラ役のマックス・ミンゲラなんかあの故アンソニー・ミンゲラ監督の息子だし
脇役だったけど、ミンゲラ監督の遺伝子がんばれって応援しちゃうよね

マークの恋人として冒頭で輝きを放っていたエリカ役のルーニー・マーラ。やたらすごいお家の出身の彼女。まだそんなに有名じゃないし、この映画でも脇役だったのに、フィンチャーの次作の主演に抜擢されている。これは期待大の女優さんだね

脚本家も監督もマーク・ザッカーバーグ本人にアポを取ろうとして拒否されたから、一切Facebookの協力なしに作られた映画なんで、全てを鵜呑みにしないようにしないといけない。

映画館を貸しきってFacebookの社員と作品を鑑賞したマーク本人もFacebookを立ち上げた経緯の違いを指摘してたみたい。服装は完璧だって(笑)

エンドクレジットでビートルズの「Baby,You're A Rich Man」が流れた時は選曲のよさにテンション上がったね

この作品はハイテク世代である20代から30代の人たちにはかなり共感できる作品じゃないかな。それより上の世代には理解できない人もいるかもね。現在の情報化社会における現状を描いた映画としては完璧な映画と言ってもいいかもしれない
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