けんたろう

出来ごころのけんたろうのレビュー・感想・評価

出来ごころ(1933年製作の映画)
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日本のサイレント映画は音声版などではなく、やっぱり活弁で観るのが一番なのかもしれぬおはなし。


無声映画だからなのだろうか。これまで観た小津映画とは対照的に、動きの大きい作品だった気がする。

しかしその動きというのも、惚れた女の幸せを願う男や、義理人情に長けた弟分、みんなを見守る食堂のおばちゃん、親を馬鹿にされて悔しがる坊主などの魅力的なキャラクター達によるごく自然な動きなため、特段違和感というものがあった訳ではなく、むしろ和み慈しめて笑えるものだった。(おいお前まじか!な最後も含めて)


観賞中は脳裏に寅さんがよぎったけど、やっぱりこれもあれも松竹の大きな流れの一つなのだろうか。とすると、松竹はサイレント期から日本の家族を見つめていたのかしらん。
むむむ…全く興味が尽きない。まずいな。その流れのすべてを掬ってみたくなってしまった。