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仁義なき戦い 完結篇のTラモーンのレビュー・感想・評価

仁義なき戦い 完結篇(1974年製作の映画)
3.7
ようやく完結編!


広能組・打本会vs山守組の広島抗争は警察の「頂上作戦」により組長、幹部クラスが次々と逮捕され終息に向かった。打本会は解散し、広能(菅原文太)は網走刑務所で7年の服役となる。一方で山守組幹部の武田(小林旭)は広島ヤクザ大団結を呼びかけ、市民社会における暴力団への厳しい批判の目から逃れるため、政治結社「天政会」を立ち上げた。


やっとこさ完結編!
ところが前作まで脚本担当の笠原和夫は『頂上作戦』でストーリーは完結したとして執筆を辞退、今作では高田宏治が脚本を務めている。
そのせいか、それとも時代の移ろいと栄枯盛衰を描いた内容のせいか、全体的には前作までの勢いが若干損なわれてしまったような印象ではあった。

政治結社として立ち上げられた天政会も結局はヤクザの寄せ集め、そして7年の刑期を終えて出てきた広能でさえもやはり手の汚れたヤクザ者であるという無常感のある作品だった。

前半の天政会内部のイザコザはかなり見応えがあり、武田に変わって新会長となる松村(北大路欣也)の存在感はバツグン。
結果的に若い世代の彼が昔気質のヤクザたちに引導を渡し、計算高い現代ヤクザへと登り詰めていくような展開は『ゴッドファーザー』のマイケルとも通ずるものがある。
思えば血気盛んな身内の大友(宍戸錠)や敵対する攻撃的な市岡(松方弘樹)に対する対応なんかもマイケルっぽかったな。

そういえば2作目ぶりの大友の復帰だったのに役者が千葉真一から宍戸錠に変わってたのは残念だったな…。千葉真一のイカれっぷり印象に残ってたのに。

松方弘樹は何度目の登場だよって感じだったけど、銃撃戦のシーンの目つきがギラッギラでヤバかったから全然許す。

割と終盤まで菅原文太が出てこないんだけどやっぱり存在感がある…とは言え、今作の広能はすでに自分の身の振り方を考えていたのか、印象の割にはおとなしかった。
彼の獄中手記がそれを物語るようだ。

"つまらん連中が上に立ったから、下の者が苦労し、流血を重ねたのである"

松村の漢気に組員を預け、その後名も知らぬ若い自分の組員の死を受け入れる。チンピラからのしあがり、苦労してきた広能だからこそラストシーンの決断に至ったのだろう。

"わしみたいな目に遭いよる若いもんが出てきよるかと思うと気が滅入るわい"


シリーズ通してとにかくストーリーが面白くて、役者の顔面含めて演技がバッチバチ。そして以後のヤクザ・マフィア映画のお手本となるようなシーンや手法、展開が盛りだくさんで、50年前の作品とは思えないほど面白かった。このシリーズ舐めたらあかんど。
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