旧ユーゴスラビア、サラエボ出身のエミール・クストリッツァ監督による2004年のセルビア映画
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世界三大映画祭すべてで監督賞を受賞したという偉大な映画監督エミール・クストリッツァ。アメリカに移住していた時に、故郷でサラエボ紛争が勃発し、悲惨な経験をした彼は、国の現状を訴える作品を撮り始める。
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そして完成した「アンダーグラウンド」は、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したが、政治的メッセージが強かったことから、論争を巻き起こし、それに嫌気がさしたクストリッツァは、一時、監督を引退する。
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その一件により、再び撮り始めた作風は、楽観的な明るい作風に変わる。この作品も「アンダーグラウンド」と同じ、ユーゴ内戦を舞台にしているが、楽観的で笑いながら訴えかける作品になっている。
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ボスニア紛争が起きて、家の回りじゃ爆音が響き渡っているのに、鉄道模型を作り、友達とチェスをするルカ。息子が捕虜になっているのに恋をするルカ。
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笑えない時代を舞台に、笑いと愛を描く。どんな悲惨な状況でも奇跡は起きる。そんなメッセージが伝わってくる人間賛歌
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作品に登場する動物たちが、作品に更なる温もりを加えていた。なつっこい犬と強欲な猫、難民熊、絶望するロバ。笑いと感動を提供してくれた動物たちに感謝
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監督として一流なのに、ロックバンドのギタリストとして、ツアーまでしている才能の塊エミール・クストリッツァのメッセージを受け取ってみてください