こたつむり

シュレック3のこたつむりのレビュー・感想・評価

シュレック3(2007年製作の映画)
3.2
♪ 誰の胸にもやどる幸福の天使
  悲しい事ばかり続かない

異端『シュレック』の更なる続編。
この世界観は大好きですね。
ちょっと斜に構えた姿勢や、ほんのりブラックな笑いが良いのです。ニヤニヤが止まりません。

だから、本作も面白かった…ですよ。
時間軸として前作の直後なので、スルッと物語世界に入り込めました。

でも…ねえ。
作品としては…ねえ。
全体的に漂う適当感というか、ぶつ切りの物語というか、雑な編集というか…褒められたものではないのです。

思うに、原案の時点で詰め込み過ぎたため、脚本を仕上げる段階で色々と削げ落としたんじゃないでしょうか。何しろ、キャラクタの言動に滑らかさを感じません。

例えば、新キャラクタ《アーサー》。
彼の成長が曲線ではなく、NY株式相場の値動きのように荒々しいのです。だから、心を添わせることが出来ないのですよね。

また、悪役たちも使い捨てのように適当な扱い。《アーサー》と対比させれば輝くはずなのですよ。でも、それを怠ったがために終盤の展開も肩透かし。カタルシスの欠片もありません。

それに主人公であるシュレックも狂言回しのよう。今回は彼が成長する物語のはずなのに、最初から結論を得ているので、その部分にダイナミズムが存在しません。確実に大切な部分が削られています。

あと、コメディ要素も“オチ”ていません。
顕著だったのは『移民の歌』に乗せて城に突入する場面。盛り上がる前に音楽が変わってしまうって…。その選曲にした意味がないじゃあないですか。

まあ、そんなわけで。
『シュレック』の世界観が好きな人に向けたファンムービー。単体の作品ではなく“ボーナスディスク”として捉えれば良いのかも。だから、前作と前々作の鑑賞は必須です。

最後に余談として。
《長靴をはいた猫》に名前が無いことに今更気付きました。「吾輩は猫である。名前はまだ無い」のは世界共通なんですかね。
こたつむり

こたつむり